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大好きな東京から発信する建築系クリエイティブユニットmosaki(田中元子+大西正紀)のブログ

キャサリン・フィンドレイさんが亡くなったとの訃報に触れ、信じられない気持ちでいます。

 キャサリンを初めて知ったのは、今から15年以上前。当時町田に住んでいた私は、小田急線の車窓から、好きな建物をチラリと見られるのが、密かな楽しみでした。その建物こそ、牛田フィンドレイの設計によるTRUSS WALL HOUSE。建築家と大工の違いも知らなかった私が、あるきっかけで、建築に興味を向けていた頃でした。

 建築については完全に独学で、当時、建築のことを話す友人もいなかったので、私は当時、いろいろな勘違いをしていました。後に聞きかじった「コルビュジエ」なる人名は最初、ふいに出てきた若手建築家だとばかり思っていたし、牛田フィンドレイのことは、自分のような素人が好きになるくらいなんだから、日本中が知っている超有名人なんだって思ってた。そう、私の中で牛田フィンドレイは、スターでした。

 そんなスターに、まさか大西が世話になるとは、夢にも思っていなかった。小田急線からTRUSS WALL HOUSEを眺めていた数年後、大西と知り合い、大西の卒業旅行と称して一緒にロンドンに遊びに行き、そこで大西は偶然にも、キャサリンの事務所の門を叩くことになったのでした。

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 私も時々ロンドンに行って、さらに時々、大西が働くキャサリンの事務所に遊びに行き、ランチを一緒に頂いたりしたのでした。私の中のスター、キャサリンが、今、目の前にいる!しかも、最高にキュートだ!!こんな興奮、あるでしょうか。

 大西は帰国してからも、キャサリンや、キャサリンの事務所で出会った人のことを気にかけていて、時折ネットでキャサリンのニュースを見つけたり、Facebookでスタッフと再会したりしては、うれしそうに話していました。そんな日々はこれからも続くと思っていたし、いつかほんとに、再会できると思っていました。そのくらいキャサリンはチアフルだったし、キラキラしたこれからのあるひとにしか見えませんでした。

 まだ悲しめるほど、時間が経っていなくて、今はただただ、驚き、残念でなりません。キャサリンとの出会い、キャサリンの事務所があった倉庫、その周りののんびりとした風景、青空、そんなことを、ぼんやり思い出しています。

 建築への興奮と、素敵な思い出。キャサリンが私にくれたものは、なんとかけがえのないものなのだろう。

田中元子(たなか・もとこ)

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*Ushida Findlayの事務所を去る際に、キャサリンが大西へ書いてくれた直筆のメッセージ

キャサリンの訃報を受けてのザハによるコメント。

http://www.archdaily.com/466578/jane-drew-prize-goes-to-kathryn-findlay-1953-2014/


キャサリン・フィンドレイ。建築の分野で女性の地位に貢献したということで、ジェーンドリュー賞を受賞した、その数時間後の訃報だったと。

http://www.heraldscotland.com/comment/obituaries/kathryn-findlay.23176910