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大好きな東京から発信する建築系クリエイティブユニットmosaki(田中元子+大西正紀)のブログ

建築。ていうか、建築家。やばくない?

あのさ。
今日、ある取材を受けていて、またひとつ、気になったことがあるんだけどね。

建築。
ていうか、建築家。
やばくない?

今、誰に欲しがられているのだろう。
どこに、未来的勝算があるのだろう。

前から言ってるけど、このままじゃ、着物とか骨董品とかと、同じになるよ。
どんなことがやばいって思ってるか、ちょっとだけ、書くね。

 

Facebookでの議論はこちらをご覧ください。

https://www.facebook.com/hanamotoko/posts/10200566163275602?stream_ref=10

https://www.facebook.com/hanamotoko/posts/10200565878508483?stream_ref=10

 

【1】マーケットが成り立ってない

建築家にどんなことができるかってことが、多くの人に理解されてない。そこに価値を感じたり、期待したりして、建築家に設計を依頼するシーンがまず増えていかないと、どうしようもない。

でもさ、現実、家買おっかなーとか、ビル建てよっかなーとか思ったときさ、建築家に依頼するっていう選択肢、結構遠いじゃん?

建築家側が「建築が社会に必要」って思ってることは私も知ってるし、その通りだと思うんだけど、逆に誰が「私に建築家が必要」って思ってるか、ってことなんだ。建築を売買すんのは、社会とか都市とか以前に、まず「ひと」相手じゃん?ひとに、建築を欲しいと思わせるために、何かやってきた?


【2】ビジネスモデルが成り立ってない

いざ依頼があっても、いい建築をがんばってつくろう!っていう心だけで突っ走って、夜な夜な徹夜して、時給換算すると100円とかになっちゃうような働き方、いつまでもしてちゃまずくない? そんなの結局は、安売りだよ。ちゃんとお金がもらえるように理解されることも必要だし、そもそも今のシステムでいいのかどうかとか、新たなシステムを考えるってことも、されたほうがいいんじゃないかと思うんだよね。
これから、建築家の職能が更新されるとしたら、何にどんな価値があるかってことも更新されるわけだから、いいチャンスだと思うんだけど、どうかな。

【3】教育が現代にキャッチアップできてない

コンピュテーション、デジタルファブリケーション、ビッグデータ、電化、防災、物流、不動産、情報、リノベーション、環境性能…そーいうの、学校で全然教えてないじゃん。今とか未来に、全然ついていけてない。学校でぜーんぶ教えて、建築やるひとは、ぜーんぶマスターしなさいよ!って言いたいわけじゃないの。できなくていいんだけど、それぞれの分野が、建築にどう影響したり、どんな可能性を与えてくれるものなのか、理解はしてなきゃ、やばいと思う。
個人的には、これからの建築家像って、こーいうことを総合的に理解して、いろんな分野と協同できるひとじゃないかと思うんだけど、そのための教育って欠落してる。

【4】ふつーのひとの今ドキ事情を知らなすぎ
「かわいい」とか「おしゃれ」とか「かっこいい」とか「きもちいい」っていう、一般的な感覚的言語を、許してこなすぎた。今、ふつーのひとが、すごく器用になってるじゃん? 悪いけど、基礎打ってスケルトン建ててくれさえすれば、あとは自分でできちゃうこと、すごく増えてる。建築家の作品性とかいって、へんに色のついたこと、かえって邪魔だから、むしろしないでって感じ。
さらに、ふつーのひとが、たくさんの情報から、いろんなことを見て、読んで、学べて、直接手に入れられることが、ぐんと多くなった。「かわいい」とか「かっこいい」っていう言語だけで、それなりのもの、自分にフィットするものを、自分で作れちゃう。
そんな中で、やっぱり、どーしても建築家が必要だ!欲しい!買いたい!って思ってもらえる機会、これから増えていくのかな。

【5】建築に憧れすぎ
わかってるって。自分が見てきた、学んできた、そして感動してきた建築、大好きなんだよね。もっと意地悪言うと、スター大好き、歴史大好き、アカデミズム大好き、名声大好き。空間性とか、メタファーとか、そーいう難しい言葉をこね回すのも、大好き。そうでしょ笑?
でもね、言い換えるとそれって、過去にばかり憧れて、グズグズ恋い焦がれて、ちっちゃい建築村での評価ばかり気にして、親離れできないままってことじゃん?今ドキ、そんな自分の興味ばっかし見てるひとに、未来もお金も、託せないよ。
個人個人が、何が好きで、何に憧れてるかってことは、どうでもいいんだけど、そんな姿勢や態度を、さも建築家のスタイル、なんてふうに公にしてたら、みんな、建築に近づきたくなくなっちゃうよ。建築を、自分のこととして、考えにくくなっちゃうよ。

以上…ご静聴ありがとうございました…

 

こんなこと書いてしまっては、建築に誇りを持っているひとに、誤解されたり、嫌われたりしても、しょうがない。ちっともわかってないって、ばかだって思われても、しょうがない。正直、ばーっと書き出したから、乱文だし、はずかしい。でもまず、共有したい、誰かに聞いて欲しい、と思いました。


ここに書いたようなことが、ぜーんぶ、建築家の問題!建築家のせい!なんて思ってないの。分野を横断して、建築に携わるひと全体が、あくまでフラットなテーブルのうえで、一緒に考えたり、取り組んだり、しなきゃいけないことだと思うし、そういう機会が足りなかったようにも、思うんです。

くどいようだけど、意見が違うひとが敵とか思ってないし、誰かを責めるつもりは、ないの。個人的に、大好きな建築に、いろんな問題を感じている中で、これからの建築とか、建築家のために、何ができるかなって、考えて、見つけて、実践していきたいんです。

それ以上でも以下でもないから、どうか、腹を立てたりしないで笑、ふつーに、お悩み相談みたいなものだと、思って頂ければ。

 

田中元子(たなか・もとこ)